飲食店を辞めたい——長時間労働・シフト・深夜営業に限界の人へ。離職率と賃金の公的データで見る辞め方

ランチのピークが終わっても休憩は名ばかり、そのままディナー、閉店後の締め作業。休みの日も「人が足りないから出て」の電話。まかないと同僚の存在だけで踏ん張ってきたけれど、もう体が動かない——飲食店の「辞めたい」は、こういう長時間の積み重ねから来る。

この記事では、公的統計で飲食業の現実を確認したうえで、「飲食はどこも同じ」という思い込みの外し方と、シフトに縛られたまま消耗しない辞め方を整理する。

飲食の離職率は全産業で2番目に高い——数字が語る「辞めて当たり前」

厚生労働省「令和5年 雇用動向調査」によると、飲食店スタッフが属する宿泊業・飲食サービス業の離職率は26.6%(2023年)で、全産業の中で2番目に高い(1位は生活関連サービス業・娯楽業の28.1%)。全産業平均は15.4%だから、飲食は平均の1.7倍以上の人が辞めていく業界だ。

これは「根性が足りない人が辞める」のではなく、労働環境そのものが人を消耗させる構造になっていることの表れだ。あなたが「辞めたい」と感じるのは、数字で見てもごく自然な反応であって、適性や我慢の問題ではない。

「辞めたい」の正体——長時間労働・シフト・深夜営業

  • 実質的な長時間労働——休憩が取れない、開店前・閉店後のサービス労働が常態化している
  • シフトの穴埋め要員化——「人が足りない」を理由に休日も呼び出され、予定が組めない
  • 深夜営業・生活リズムの崩壊——終電後の帰宅や早朝仕込みで、睡眠と体調が削られる
  • クレーム・繁忙のプレッシャー——ピーク時の緊張と客対応で、心がすり減る

厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」でも、仕事で強い不安・悩み・ストレスを感じる労働者は全体で82.7%、その内容の上位には「仕事の量」(39.4%)が入る。長時間・高稼働の飲食現場は、まさにこの負荷を浴び続ける仕事だ。

賃金データで冷静になる——拘束の割に合っているか

「辞めたら生活できない」という不安には、賃金データが判断材料になる。厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」(一般労働者・企業規模計10人以上)によると:

  • 飲食物調理従事者(調理スタッフ)——きまって支給する現金給与額は月27万2,500円、年間賞与31万9,200円(単純合算で年収約359万円)
  • 飲食物給仕従事者(ホールスタッフ)——月25万4,300円

労働時間の長さを時給換算で割り戻したとき、この水準を大きく下回っているなら、「あなたの働きが足りない」のではなく「その店が長時間・低単価で回している」だけという可能性が高い。調理・接客・オペレーションの経験は他店・他業種でも通用する。今の一店舗が世界のすべてではない。

「シフトが埋まらない」「繁忙期だから」への答え

飲食の退職で最大の壁は、シフトと繁忙期を盾にした引き止めだ。ここははっきりさせておく。

シフトを組むのは店の責任であって、退職者個人の責任ではない。期間の定めのない雇用契約なら、民法627条により退職の申入れから2週間で契約は終了する。バイト・パートでも正社員でも退職の自由は等しい。「繁忙期が終わるまで」「次のシフトが埋まるまで」という条件は法律にはない。現実的な段取りは次の順だ。

  • ① 退職希望日を決め、退職届を書面で出す——LINEのブロックではなく、日付の残る形にする
  • ② 制服・鍵・社割カード等の返却物を確認する——郵送で済む場合が多い
  • ③ 有給の残日数と、サービス残業・未払い分の記録を確認する
  • ④ 引き止めが強く言い出せないなら、退職代行(相場2〜3万円程度)で連絡を任せ、出社せず辞められる

あなたが今日やること

  • [ ] 直近2週間の実労働時間(休憩実態含む)を書き出す
  • [ ] 有給休暇の残日数を確認する
  • [ ] サービス残業・未払い分の証拠(シフト表・タイムカード写真等)を保存する
  • [ ] 睡眠不足・体調不良のサインが出ているなら受診を優先する
  • [ ] 言い出せる気がしないなら、退職代行の無料相談を比較する

2番目に離職率が高い業界で消耗し続ける義務は、あなたにはない。シフトに縛られて言い出せないなら、退職代行の比較はこちら——弁護士型・労働組合型・民間型の違いつきで整理してある。

*本記事は2026年7月時点の法律・制度・統計情報(厚生労働省「令和5年 雇用動向調査」「令和5年 賃金構造基本統計調査」「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」)をもとに作成しています。個別の案件については専門家にご相談ください。*

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