給与計算も、社会保険の手続きも、備品発注も、来客対応も、全部あなた一人。マニュアルはなく、引き継ぐ相手もいない。「君が辞めたら会社が回らない」と言われるたびに、辞めたい気持ちと罪悪感の板挟みになる——1人総務・1人経理の「辞めたい」は、この属人化のプレッシャーから来る。
この記事では、公的統計で事務職の状況を確認したうえで、「あなたしかできない」を盾にした引き止めの外し方と、決算期を避けて角を立てずに辞める段取りを整理する。
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「辞めさせてもらえない」は相談の上位——数字で見る現実
総務・経理の退職でつきまとうのが「引き止め」だ。これは制度的にも珍しくない。厚生労働省「令和5年度 個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、総合労働相談は年間121万412件に達し、民事上の個別労働紛争では「自己都合退職」(辞めたいのに辞めさせてもらえない等)が上位の相談カテゴリを占める。「あなたしかできない」で引き延ばされる状況は、あなただけの特殊なケースではなく、全国で相談が絶えない典型パターンだ。
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「辞めたい」の正体——属人化・社長直下・雑務集中
- 業務の属人化——マニュアルがなく、あなたが休むと業務が止まる。休むことも辞めることも許されない空気
- 月次・決算のプレッシャー——締めのたびに残業が集中し、ミスが許されない緊張が続く
- 社長・役員直下の圧力——中間に人がおらず、経営陣の要求が直接降ってくる
- 雑務の吸い込み口——「事務なら何でも」で、庶務・来客・電話まで一手に引き受ける
厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」でも、仕事で強い不安・悩み・ストレスを感じる労働者は全体で82.7%、その内容の最多は「仕事の失敗、責任の発生等」(39.7%)。ミスが即座に会社の数字や手続きに響く経理・総務は、まさにこの責任ストレスを浴び続ける仕事だ。
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賃金データで冷静になる——事務経験は転職市場で通用する
「事務職は他に行き先がない」と感じる人へ。厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」(一般労働者・企業規模計10人以上)によると:
- 総合事務員——きまって支給する現金給与額は月34万1,700円、年間賞与100万8,500円(単純合算で年収約511万円)
- 庶務・人事事務員——月32万7,100円、年間賞与100万8,600円
1人で総務・経理を回してきた経験は、業務範囲の広さと自走力の証明でもある。今の待遇がこの水準を下回り、拘束と責任だけが重いなら、それは「あなたの市場価値が低い」のではなく「その会社が一人に負わせすぎている」だけだ。バックオフィス人材の需要は広く、経験者は転職市場で評価されやすい。
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「君が辞めたら会社が回らない」への答え
業務が回る体制を作るのは会社の責任であって、退職者個人の責任ではない。一人に依存する体制を放置してきたのは経営判断であり、そのリスクをあなたの人生で埋め合わせる義務はない。期間の定めのない雇用契約なら、民法627条により退職の申入れから2週間で契約は終了する。「後任が育つまで」という条件は法律にはない。角を立てにくい段取りは次の順だ。
- ① 業務一覧と手順を「在職中にできる範囲」で文書化する——給与計算、社保手続き、月次締め、支払スケジュール、各種ID・保管場所。完璧でなく「読めば動ける最低限」でいい
- ② 退職日は決算期・給与計算期を避けて設定する——円満度が上がり、引き継ぎも整理しやすい
- ③ 退職届を書面で出す——口頭は「聞いていない」で潰されやすい
- ④ 有給の残日数を確認し、消化を前提に最終出勤日を逆算する
- ⑤ 引き止めが強く言い出せないなら、退職代行(相場2〜3万円程度)で連絡を任せる選択肢もある
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あなたが今日やること
- [ ] 自分しか把握していない属人業務をリストアップする
- [ ] 決算期・給与計算期を避けた退職希望日の候補を出す
- [ ] 有給休暇の残日数を確認する
- [ ] 自分の待遇を全国水準(総合事務員 月34万1,700円)と比べてみる
- [ ] 言い出せる気がしないなら、退職代行の無料相談を比較する
会社の体制の穴を、あなた一人の犠牲で埋め続ける必要はない。属人化を盾に引き止められて辞められないなら、退職代行の比較はこちら——弁護士型・労働組合型・民間型の違いつきで整理してある。
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*本記事は2026年7月時点の法律・制度・統計情報(厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」「令和5年度 個別労働紛争解決制度の施行状況」)をもとに作成しています。個別の案件については専門家にご相談ください。*