インフラエンジニアを辞めたい——オンコールで消耗する人のための離職率・年収データと現実的な辞め方

深夜2時のアラート対応。休日も手放せないオンコール端末。「サーバーが落ちたらお前の責任」という無言の圧。障害が起きなければ評価されず、起きれば詰められる——インフラエンジニアの「辞めたい」は、こういう積み重ねの果てに来る。

この記事では、公的統計でインフラエンジニアを取り巻く現実を確認したうえで、「辞めるべきかの判断材料」と「引き継ぎ相手がいない職場の現実的な辞め方」を整理する。

インフラエンジニアの離職率——数字は低いのに、メンタル不調は全産業トップという歪み

「インフラエンジニア 離職率」で検索する人が知りたいのは、「自分の『辞めたい』は普通なのか」だろう。データはこうなっている。

厚生労働省「令和5年 雇用動向調査」によると、インフラエンジニアが属する情報通信業の離職率は12.8%(2023年)。全産業平均の15.4%より低く、数字の上では「定着している業界」に見える。

ところが、同じ厚生労働省の「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」を見ると、まったく別の顔が出てくる。過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業または退職した労働者がいた事業所の割合は、情報通信業が32.4%で全産業トップ(全産業平均13.5%)。労働者ベースでも、メンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した労働者の割合は情報通信業が1.3%と、全産業平均0.6%の2倍以上だ。

つまりこの業界は、「辞める人は少ないが、心身を壊して長期離脱する人は突出して多い」という構造をしている。辞めずに耐え続けた先にあるのが休職なら、離職率の低さは安心材料ではない。「辞めたい」と感じている段階で対処するのは、データで見てもまっとうな判断だ。

「辞めたい」の正体——オンコール・夜間対応・1人情シス

インフラエンジニアの消耗要因は、開発職とは質が違う。

  • オンコール・夜間対応——「いつ鳴るかわからない」状態が続くと、鳴らない夜でも脳が休まらない。休日が休日として機能しなくなる
  • 減点方式の評価——動いて当たり前、落ちたら事故。障害対応で徹夜しても「そもそも落とすな」と言われる
  • 1人情シス・属人化——「あなたしかわからない」システムを抱え、休むことも辞めることも許されない空気になる
  • 保守・運用の閉塞感——新しい技術に触れる時間がなく、キャリアが「今のシステムの番人」で止まる不安

労働安全衛生調査でも、仕事で強い不安・悩み・ストレスを感じる労働者は全体で82.7%にのぼり、その内容の最多は「仕事の失敗、責任の発生等」(39.7%)。障害=即インシデントという責任構造のインフラ運用は、まさにこのストレスの典型だ。

年収データで冷静になる——辞めても市場は広い

「辞めたいけど、辞めたら食えなくなるのでは」という不安には、賃金データが答えになる。厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」(一般労働者・企業規模計10人以上)によると:

  • その他の情報処理・通信技術者(インフラ系技術者を含む区分)——きまって支給する現金給与額は月37万1,600円、年間賞与112万3,300円(単純合算で年収約558万円)
  • システムコンサルタント・設計者——月47万7,500円、年間賞与111万9,100円(同・約685万円)。設計・上流側に軸足を移すと水準が一段上がる

運用経験は、クラウド移行・SRE・社内SE・設計側など複数の出口につながる。今の職場の待遇と拘束が全国水準より明らかに悪いなら、それは「あなたの市場価値が低い」のではなく「職場が安く使っている」だけという可能性を、この数字と照らして判断してほしい。

「お前が辞めたらシステムが止まる」への答え

インフラエンジニアの退職で最大の壁は、属人化を盾にした引き止めだ。ここははっきりさせておく。

システムの継続性を担保するのは会社の責任であって、退職者個人の責任ではない。1人に依存する運用体制を放置してきたのは経営判断であり、そのリスクをあなたの人生で埋め合わせる義務はない。民法627条により、期間の定めのない雇用契約は退職の申入れから2週間で終了する。「後任が採用できるまで」という条件は法律のどこにもない。

現実的な段取りとしては、次の順で動くと角が立ちにくい。

  • ① ランブック(手順書)を「在職中にできる範囲」で文書化する——構成図、定常作業、障害時の一次対応、パスワード管理の所在。完璧な引き継ぎではなく「読めば動ける最低限」でいい
  • ② 退職は「報告」として伝える——「◯月末で退職します。引き継ぎ資料はここまで用意します」と、意思と提供範囲をセットで示す
  • ③ 退職届を書面で出す——口頭は「聞いていない」で潰される。日付の残る形にする
  • ④ オンコール当番表から自分を外す時期を明示する——退職日直前まで当番に入れられ続けるのを防ぐ
  • ⑤ 引き止めが「業務命令」の形になったら、外部の力を使う——退職代行(相場2〜3万円程度)なら、以後の連絡を全部任せて出社せずに辞める選択肢もある

あなたが今日やること

  • [ ] 直近1か月のオンコール対応・深夜対応の回数を書き出す(現状の可視化)
  • [ ] 有給休暇の残日数を確認する
  • [ ] ランブック化されていない属人業務をリストアップする
  • [ ] 眠れない・動悸がするなど体のサインが出ているなら、受診を優先する
  • [ ] 言い出せる気がしないなら、退職代行の無料相談を比較する

アラートに起こされない朝は、ちゃんと存在する。オンコール端末を返す日を自分で決められないなら、退職代行の比較はこちら——弁護士型・労働組合型・民間型の違いつきで整理してある。

*本記事は2026年7月時点の法律・制度・統計情報(厚生労働省「令和5年 雇用動向調査」「令和5年 賃金構造基本統計調査」「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」)をもとに作成しています。個別の案件については専門家にご相談ください。*

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