夏休みに入った瞬間、体が動かなくなった。カレンダーの「2学期始業式」の文字を見るだけで胃が締め付けられる。「9月からまた、あの教室に戻るのか」——そう思った瞬間に涙が出た。そんな先生は、決して珍しくない。
「年度途中で辞めるなんて無責任」「生徒がかわいそう」「3月まで我慢しなさい」——周りはそう言うだろう。しかし、あなたの心と体が壊れてしまったら、その責任は誰も取ってくれない。
この記事では、夏休み明け・2学期のタイミングで教師を辞めるための現実的な段取りを、公立と私立の違いも含めて整理する。
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夏休み明けの9月に「辞めたい」と思うのは、あなただけじゃない
長期休み明けは、大人にとっても学校がつらくなるタイミングだ。夏休み中に張り詰めていた糸が緩み、自分の疲弊にようやく気づく。「2学期が始まる」という現実を前に、体が拒否反応を示す——そういうケースは珍しくない。
データもそれを裏付けている。厚生労働省の「令和5年 雇用動向調査」によると、教師が含まれる教育・学習支援業の離職率は14.8%(2023年)。全国平均の15.4%に近い水準で、「先生は辞めない職業」という時代はとっくに終わっている。
また、厚生労働省「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によれば、2023年度の総合労働相談件数は121万412件。そのうち民事上の個別労働紛争の相談では、12年連続で「いじめ・嫌がらせ(パワハラ)」が最多(6万件超)であり、「辞めたいのに辞めさせてもらえない」という自己都合退職の相談も上位の常連だ。
職員室の人間関係、保護者対応、部活動、終わらない校務分掌。限界を感じて辞めることは、逃げでも甘えでもない。労働者として当然の選択肢だ。
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年度途中でも辞められる——公立と私立で手続きが違う
「教員は年度途中で辞められない」というのは思い込みだ。ただし、公立と私立で法的な立て付けが異なるので、自分がどちらに当てはまるかをまず確認しよう。
私立学校の教員:民法627条が適用される
私立学校の教員は、学校法人と雇用契約を結ぶ「労働者」だ。期間の定めのない雇用であれば、民法627条により退職の申入れから2週間が経過すれば雇用契約は終了する。就業規則に「退職は3ヶ月前までに申し出ること」と書かれていても、法律上は2週間前の申入れで退職できるのが原則だ。
もちろん、円満に去るなら余裕を持ったスケジュールが望ましい。しかし「規則で決まっているから3月までは絶対に辞められない」というのは正しくない。
公立学校の教員:地方公務員としての手続きになる
公立学校の教員は地方公務員なので、民法627条がそのまま適用されるわけではない。退職願を提出し、任命権者(教育委員会)の承認を経て退職する流れになる。
ここで押さえておきたいのは、公立教員の場合、退職日は本人の希望日で当然に決まるのではなく、任命権者の承認(退職発令)によって確定するということだ。私立のように民法627条で「申入れから2週間」と機械的に終了するわけではないので、希望日そのままで退職できるとは限らない。一方で、退職の自由そのものは公務員にも保障されている。承認手続きを盾に、本人の意思に反していつまでも在職を強制できる制度ではないし、「後任がいないから」という理由だけで退職を無期限に先延ばしにされる筋合いはない。実際の退職日は任命権者側との調整で決まる前提で、早めに動くのが現実的だ。
手順としては、まず管理職(校長・教頭)に退職の意思を伝え、退職願を提出する。日付や様式は自治体ごとの規定があるので、伝えた後の事務手続きは学校側が案内してくれる。
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管理職への伝え方——2学期直前・直後の現実的な段取り
9月退職を目指すなら、動き出しは早いほどいい。現実的な段取りは次の通りだ。
- ① 夏休み中に管理職へアポを取る——生徒がいない夏休み期間は、落ち着いて話せる数少ないチャンス。「ご相談したいことがあります」で構わない
- ② 退職の意思は「相談」ではなく「報告」として伝える——「辞めようか迷っていて…」と切り出すと引き止め協議が始まる。「◯月末で退職させていただきたく、本日はそのご報告です」と結論から言う
- ③ 理由は深掘りさせない——「一身上の都合」で足りる。健康上の理由なら「体調面の事情で継続が難しい」まででいい
- ④ 退職願・退職届を書面で出す——口頭だけだと「聞いていない」とされるリスクがある。書面で日付を残す
- ⑤ 引き継ぎ資料は「在職中にできる範囲」で作る——成績・指導記録・年間指導計画の現在地をまとめれば十分。完璧なバトンタッチは求められていない
2学期が始まってから限界が来た場合も、手順は同じだ。始業式を迎えてしまったから3月まで辞められない、ということはない。
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